「計算統計の観点からのベイズ統計と頻度論の融合 ― Bayesian IJKとWカーネル」としまして下記のとおり開催いたします。
近年,ベイズ推測の結果の頻度論的評価に必要な情報がベイズ事後分布それ自体の中に事後共分散・事後キュムラントの形で埋め込まれていることが明らかになってきている(Watanabe(2010, 2018), Efron(2015), Iba and Yano (2022), Giordano and Broderick (2023)).この関係を利用すると,MCMCで生成した事後分布からのサンプルを利用してさまざまな頻度論的推論が可能になる.本講演では,数学的に厳密な話ではなく,発見法的な立場から,この周辺の話題を紹介する.主として正則なモデルを想定するが,特異モデルへの拡張の可能性についても最後に議論したい.
まず,Giordano and Broderick (2023)がBayesian IJK (Bayesian infinitesimal jackknife) と呼んでモデル誤特定下でのベイズ期待値の頻度論的な共分散を表現するのに用いた考え方を紹介し,ブートストラップ法への応用や情報量規準との関連を示す.ここで基本となるのは,任意の統計量の影響関数が事後キュムラントによって簡潔に表現できることである.
次に,各観測の対数尤度の事後共分散からなる行列(以下W行列と呼ぶ)がBayesian IJKや事後分布の感度解析で重要な意味を持つことを論じる(Iba(2023)).W行列は重複度を込めてサンプルサイズと一致する個数の固有値をもつが,多くの例でそのほとんどは実質的にゼロであり,ゼロでない固有値に対応する部分空間への射影が頻度論的推論や感度解析にとって本質的である.また,W行列は正定値の再生核(Wカーネル)とみなすことが可能で,従来から知られているフィッシャーカーネルやNeural Tangent KernelはWカーネルの近似と解釈できる.WAICのバイアス補正項はW行列の対角成分のみを利用しているが,非対角成分も情報を担っていることがわかる.
講師: 伊庭 幸人(統計数理研究所 教授)
テーマ: AI・データ利活用研究会 第63回
日時: 2024年01月19日(金) 講演 18:00-19:00 質疑 19:00-20:00
場所: オンライン開催
参加費: 無料
参加方法: Zoomウェビナーを用いたオンラインでの開催となります。
開催時刻:2024年1月19日 06:00 PM 大阪、札幌、東京
トピック:AI・データ利活用研究会 第63回
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https://zoom.us/webinar/register/WN_o6E8OiL-Sg-7vBUtEG9E_A
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主催校 | 大阪大学 |
開始日時 | 2024年1月19日(金) 18:00 |
終了日時 | 2024年1月19日(金) 20:00 |
場所 | オンライン開催(ホスト大阪大学) |
参加費 | 無料 |
アクセス | WEB開催:大阪大学 ホスト |
問合せ | mmds-ddrive@sigmath.es.osaka-u.ac.jp |